自己触媒反応機構によるアミノ酸熱重合物のカプセル形成 [Published online J. Comput. Chem. Jpn., 20, 10-13, by J-STAGE]

[Published online Journal of Computer Chemistry, Japan Vol.20, 10-13, by J-STAGE]
<Title:> 自己触媒反応機構によるアミノ酸熱重合物のカプセル形成
<Author(s):> 伊藤 俊介, 櫻沢 繁
<Corresponding author E-Mill:> sakura(at)fun.ac.jp
<Abstract:> アミノ酸熱重合物は数種のアミノ酸混合物を熱重合して得られる原始的な高分子である.アミノ酸熱重合物微小球は周囲の環境の変化に応じて外側にカプセルを形成するが,そのメカニズムは明らかになっていない.本研究 では,アミノ酸熱重合物の持つ自己触媒反応的な性質がカプセル形成の要因であるとの仮説を立て,ブラウン動 力学に自己触媒的なクラスター形成機構を組み込み,その検証を試みた.クラスター形成機構を組み込んだ場合, 高密度領域が形成されることが明らかになった.この結果は,高密度領域のクラスターがさらに成長してカプセ ル状の構造を形成することを示唆する.これによって,原始的な高分子であるアミノ酸熱重合物が,生命起源に 寄与したと考えられる物理的区画を形成する機能を持ち,それはアミノ酸熱重合物の自己触媒的会合過程に由来 することが明らかになった.
<Keywords:> Colloid, Self-Organizing System, Origin of life, Compartment Formation, Nonlinearity
<URL:> https://www.jstage.jst.go.jp/article/jccj/20/1/20_2020-0027/_article/-char/ja/