C5Ch5およびC6Ch6 (Ch = S, Se, Te)の分子構造と芳香族性の評価 [Published online J. Comput. Chem. Jpn., 15, 87-91, by J-STAGE]

[Published online Journal of Computer Chemistry, Japan Vol.15, 87-91, by J-STAGE]
<Title:> C5Ch5およびC6Ch6 (Ch = S, Se, Te)の分子構造と芳香族性の評価
<Author(s):> 川田 修太郎, 望月 祐志, 中野 克洋
<Corresponding author E-Mill:> kawada(at)rikkyo.ac.jp
<Abstract:> (CO)nで記されるCO単位の環状重合体であるオキソカーボンは長 年関心を集めてきた.しかし,Oをカルコゲン原子Ch = (S, Se, Te)で置換した擬オキソカーボン類については,これまで系統的に理論計算による検討はなされてはいない.そこで今回,(CCh)n (n = 5,6)についてDFT計算による分子構造の最適化とNICS値の算定を試みた.最適化計算からは,カルコゲンが高周期になるにつれて構造の平面性が増す ことが分かった.NICS値からは,(CTe)6でベンゼンに匹敵する芳香族性が示唆された.
<Keywords:> Oxocarbon, Chalcogen, DFT calculation, NICS evaluation, Aromaticity
<URL:> https://www.jstage.jst.go.jp/article/jccj/15/4/15_2016-0042/_article/-char/ja/

Intel Xeon Phi上でのSMASHによる並列化DFT計算の性能評価 [Published online J. Comput. Chem. Jpn., 15, 92-96, by J-STAGE]

[Published online Journal of Computer Chemistry, Japan Vol.15, 92-96, by J-STAGE]
<Title:> Intel Xeon Phi上でのSMASHによる並列化DFT計算の性能評価
<Author(s):> 齊藤 天菜, 望月 祐志, 山崎 大, 石村 和也
<Corresponding author E-Mill:> fullmoon(at)rikkyo.ac.jp
<Abstract:> Intel Xeon Phiプロセッサが科学技術計算用のメニーコアプロセッサとして注目を集めている.私たちは,高い並列性能を持つ分子軌道計算プログラムSMASHを用 い,DFT計算に関して第一世代Phi (Knights Corner)上のネィティブモードで性能評価を行った.その結果,実60コアから論理120コアへ増分したマルチスレッディングの領域でも1.4倍程の 加速が得られることが分かった.これは,第二世代Phi (Knights Landing)でも好ましい性能が得られると期待させるものである.
<Keywords:> Intel Xeon Phi, Many-core, Multi-threads, Parallelized DFT calculations, SMASH program
<URL:> https://www.jstage.jst.go.jp/article/jccj/15/4/15_2016-0047/_article/-char/ja/

3Dプリンターによる分子キャビティーの構造解析 [Published online J. Comput. Chem. Jpn., 15, 97-104, by J-STAGE]

[Published online Journal of Computer Chemistry, Japan Vol.15, 97-104, by J-STAGE]
<Title:> 3Dプリンターによる分子キャビティーの構造解析
<Author(s):> 戸澤 理詞, 玉井 良則
<Corresponding author E-Mill:> tamai(at)u-fukui.ac.jp
<Abstract:> 立体規則性高分子の単結晶において,分子鎖間に「分子キャビティー」と呼ばれる空孔が生成する系があり,その構造を制御することにより,特定の分子を分 離・回収する高性能な分離膜としての利用が期待されている.分子キャビティーの構造を解明するために様々な研究が行われているが,複雑なキャビ ティーの構造を立体的・直観的に把握することは困難である.そこで,本研究では,3Dプリンターを用いてキャビティーの立体モデルを作成すること で,構造の理解を深めることを目的とする.分子キャビティーを持つシンジオタクチックポリスチレン(s-PS)のδe型,ε型 及びS-I型を対象として,分子動力学(MD)シミュレーションを行い,分子キャビティーの構造を再現した.得られたデータを3Dプリンターで利 用可能な構造データに変換し,分子キャビティーの立体造形モデルを作成した.δe型について,b軸 方向及びac軸方向につながるチャネルを再現したところ,気体分子が拡散しやすいac軸方向につながるチャネルの方 が太くて短い様子が十分に再現されていた.一方ε型とS-I型については,それぞれ,円筒型とジグザグ状のチャネルが得られた.さ らに,これらのモデルに気体分子を挿入した系について解析を行い,気体分子が跳躍運動をしている瞬間を3Dモデル化することにより,結晶構造と気 体の拡散様式の関係を直観的にとらえることに成功した.
<Keywords:> Molecular cavity, Syndiotactic polystyrene, 3D printer, Diffusion, Gas separation
<URL:> https://www.jstage.jst.go.jp/article/jccj/15/4/15_2015-0021/_article/-char/ja/

Dirac方程式の厳密解の可視化 [Published online J. Comput. Chem. Jpn., 15, 105-117, by J-STAGE]

[Published online Journal of Computer Chemistry, Japan Vol.15, 105-117, by J-STAGE]
<Title:> Dirac方程式の厳密解の可視化
<Author(s):> 秦野 貔, 山本 茂義, 舘脇 洋
<Corresponding author E-Mill:> hatano(at)sist.chukyo-u.ac.jp
<Abstract:> 水素原子のDirac方程式は厳密解が得られている.そのスピノルの形状を知ることは,重元素を含む分子での相対論効果を議論するうえで重要である.s, p, d, fの各スピノルは特徴のある形状をしているが,本論文の目的は電子密度の3D等値面 図を図鑑にすることで各スピノルの特徴を一望できるようにすることにある.Schr dinger方程式の厳密解の図も併記しており,相対論では非相対論と比較して節が少なくなっていることが容易に見てとれる.Z = 100の<r > を計算し,その詳細を分析した.相対論的効果で<r > が減少するが,その効果は一様ではなく,s1/2p1/2で大き い.描画と計算に用いたMathematicaノートブックは本論文とともに提供しており,改変可能な教材として利用できる.
<Keywords:> Dirac equation, Exact solution, 3D density plot, Nodes, Contraction, Mathematica, Chemical education
<URL:> https://www.jstage.jst.go.jp/article/jccj/15/4/15_2016-0014/_article/-char/ja/

プロトンの水和自由エネルギー:酸解離定数および標準水素電極電位の高精度計算 [Published online in advanced , by J-STAGE]

[Advanced Published online Journal of Computer Chemistry, Japan, by J-STAGE]
<Title:> プロトンの水和自由エネルギー:酸解離定数および標準水素電極電位の高精度計算
<Author(s):> 松井 亨, 喜屋武 茜, 庄司 光男, 重田 育照
<Corresponding author E-Mill:> shigeta(at)ccs.tsukuba.ac.jp
<Abstract:> 本総説では,分極誘電体モデルと量子化学計算に基づく酸解離定数(pKa) の計算手法について述べる.この手法では,参照分子に対して計算により得られる自由エネルギー差と実験により得られるpKa値 から官能基毎の線形関係を導くことで,アミノ酸の側鎖のpKaの半定量的な計算が可能になる.ペプチド3量 体の計算においては,周囲のアミノ酸の水素結合の効果によってpKaが単量体とくらべ大きく(3 pKa単 位)異なることがわかる.また本手法は標準水素電極電位の計算にも適用可能であり,いくつかの酸化還元反応の誤差はCCSD (T)/aug-cc-pVDZでは0.1V以内であり,B3LYPでも同程度の精度で酸化還元電位が計算される.
<Keywords:> Hydration free energy, pKa, Proton, Solvation model
<URL:> https://www.jstage.jst.go.jp/article/jccj/advpub/0/advpub_2016-0022/_article/-char/ja/

多成分密度汎関数理論のための電子-核相関汎関数の開発 [Published online in advanced , by J-STAGE]

[Advanced Published online Journal of Computer Chemistry, Japan, by J-STAGE]
<Title:> 多成分密度汎関数理論のための電子-核相関汎関数の開発
<Author(s):> 宇田川 太郎, 常田 貴夫, 立川 仁典
<Corresponding author E-Mill:> udagawa(at)gifu-u.ac.jp
<Abstract:> 最も軽い水素の原子核の運動においては,量子効果が顕著に現れる. 原子核運動の量子効果を直接的に取り込んだ理論として多成分分子理論を開発してきた.また近年では,計算時間のかからない密度汎関数理論が分子理論の中心 理論となりつつある.我々は,多成分密度汎関数理論のための簡便な電子-核相関汎関数を開発した. この汎関数は,相関波動関数から簡単かつ正当な物理条件のみにもとづいて導出した汎用性の高い汎関数であり,パラメータを1つしか含まない.にもかかわら ず,水素原子を含む小分子の電子-プロトン相関エネルギーを化学的精度(1 2 kcal/mol程度の誤差)で再現する.
<Keywords:> Multicomponent density functional theory, electron-nucleus correlation functional, many-body effect, H/D isotope effect, correlations between different elementary particles
<URL:> https://www.jstage.jst.go.jp/article/jccj/advpub/0/advpub_2016-0018/_article/-char/ja/

Dirac方程式の厳密解の可視化 [Published online in advanced , by J-STAGE]

[Advanced Published online Journal of Computer Chemistry, Japan, by J-STAGE]
<Title:> Dirac方程式の厳密解の可視化
<Author(s):> 秦野 貔, 山本 茂義, 舘脇 洋
<Corresponding author E-Mill:> hatano(at)sist.chukyo-u.ac.jp
<Abstract:> 水素原子のDirac方程式は厳密解が得られている.そのスピノルの形状を知ることは,重元素を含む分子での相対論効果を議論するうえで重要である.s, p, d, fの各スピノルは特徴のある形状をしているが,本論文の目的は電子密度の3D等値面 図を図鑑にすることで各スピノルの特徴を一望できるようにすることにある.Schr dinger方程式の厳密解の図も併記しており,相対論では非相対論と比較して節が少なくなっていることが容易に見てとれる.Z = 100の<r > を計算し,その詳細を分析した.相対論的効果で<r > が減少するが,その効果は一様ではなく,s1/2p1/2で大き い.描画と計算に用いたMathematicaノートブックは本論文とともに提供しており,改変可能な教材として利用できる.
<Keywords:> Dirac equation, Exact solution, 3D density plot, Nodes, Contraction, Mathematica, Chemical education
<URL:> https://www.jstage.jst.go.jp/article/jccj/advpub/0/advpub_2016-0014/_article/-char/ja/

水素分子クラスターの量子構造ゆらぎ [Published online in advanced , by J-STAGE]

[Advanced Published online Journal of Computer Chemistry, Japan, by J-STAGE]
<Title:> 水素分子クラスターの量子構造ゆらぎ
<Author(s):> 三浦 伸一
<Corresponding author E-Mill:> smiura(at)mail.kanazawa-u.ac.jp
<Abstract:> 水素分子はその質量の軽さから原子核の量子効果が大きく,水素分子クラスターの基底状態を考える上で重要な役割を果たしている.クラスター(H2)13を 例にとり,単純な調和近似は破綻し,その波動関数は配位空間の中でエネルギー最安定構造を含む幾つかの極小構造をカバーする領域にまで非局在化し ていることを示した.また比較的小さいクラスター(N 20)に対して,化学ポテンシャルに相当する量μNを 計算し,核の量子効果を完全に取り入れた場合は,N = 13のクラスターは魔法数と呼んでもよい安定な状態をとっている一方で,古典近似の際に見られたN = 7, 19におけるμNの 極小は量子力学的な運動エネルギーにより消失することを示した.
<Keywords:> Molecular cluster, Para-hydrogen molecule, Path integral, Quantum Monte Carlo method, Superfluid.
<URL:> https://www.jstage.jst.go.jp/article/jccj/advpub/0/advpub_2016-0021/_article/-char/ja/