準結晶ペンローズタイルクラスタにおける周辺構造修飾と中心局在相 [Published online J. Comput. Chem. Jpn., 21, 10-19, by J-STAGE]

[Published online Journal of Computer Chemistry, Japan Vol.21, 10-19, by J-STAGE]
<Title:> 準結晶ペンローズタイルクラスタにおける周辺構造修飾と中心局在相
<Author(s):> 金崎 翼, 石井  楽士, 武田 京三郎
<Corresponding author E-Mill:> takeda(at)waseda.jp
<Abstract:> 準結晶格子は短距離秩序と長距離非周期性という新たな構造的特質を有する.本研究ではこの格子の幾何的特質に依って生じ得る電子構造の特徴の抽出を試みた.具体的には典型的準結晶二次元格子であるペンローズタイル(PT)模様を想定し,そのクラスター化により対象系の簡素化を図った.さらに1格子原子1電子近似を行い,Harrison法とSlater-Koster法を組み合わせた強結合近似を用いて,当該系の電子構造を算出し,その体系化を行った. その結果,PTが有する5回回転対称短距離秩序と長距離非周期性により,クラスタ中心部位に強く局在する準位が発現する可能性を見出した.この準位はその中心局在性により,PTC外周辺部位に対し”構造鈍感”である.従って5回対称性を保持するように当該PTC類の周辺構造修飾(原子団の除去及び付加)を行えば,其れに伴う電子数の可変により,同準位のSOMO化が可能となる.こうして,短距離秩序と長距離非周期性という準結晶の幾何的特徴により,中心部位に局在かつ露出化された電子スピン状態の創出が期待できる事が明らかとなった.
<Keywords:> Penrose tile, clusters, quasicrystal, peripheral modification, central localization
<URL:> https://www.jstage.jst.go.jp/article/jccj/21/1/21_2022-0006/_article/-char/ja/