UO2-ZrO2固溶体の融点および熱伝導率の分子動力学解析 [Published online J. Comput. Chem., Jpn.,, 14, 97-104, by J-STAGE]

[Published online Journal of Computer Chemistry, Japan14, 97-104, by J-STAGE]
<Title:> UO2-ZrO2固溶体の融点および熱伝導率の分子 動力学解析
<Author(s):> 有馬 立身
<Corresponding author E-Mill:> arima(at)nucl.kyushu-u.ac.jp

<Abstract:> 原子炉過酷事故の事象進展には溶融燃料の熱的物性が大きく影響する.溶融燃料の主な物質であるUO2-ZrO2固 溶体の融点を古典分子動力学法を用いて組成をパラメータとして,また熱伝導率を組成・温度を変えて固体から液体状態まで評価した.融点に関しては 固液2相共存法が単相で評価するよりも実験値に近い値を与えた.これは結晶性固体の単相に対して温度を上げても融解の核が生成しにくく,過加熱状 態に陥りやすいことを意味している.また,UO2とZrO2を互いに固溶させることにより融点は低 下し,それが融解エンタルピーの減少と相関することを明らかにした.熱伝導率は平衡分子動力学法によりグリーン-久保の関係式から,エネルギーと 電荷の流れの相互効果を考慮し,固体から液体状態までの格子振動の寄与を評価した.固体の熱伝導率には,ウムクラップ散乱による温度上昇に伴う低 下,低温の固溶体で見られるフォノンの不純物散乱による低下が確認できた.一方,超高温の液体状態の熱伝導率は低く,温度および組成の依存性は小 さいことが分かった.
<Keywords:> Molecular dynamics, Thermal conductivity, Melting point, UO2, ZrO2
<URL:> https://www.jstage.jst.go.jp/article/jccj/14/4/14_2015-0007/_article/-char/ja/